「学び」と「出会い」に感謝

牧野 徹大日コンサルタント株式会社
執行役員大阪支社副支社長兼 技術部長
牧野 徹

私は1996年に関西大学を卒業し、地元の岐阜に本社を置く大日コンサルタントに入社しました。橋梁の新設設計に5年間従事した後、2回の発注者支援業務を経験しました。 1回目は、当時のJH名古屋管理事務所に施工管理員として3年間勤務し、主に東名高速道路や東名阪自動車道の橋梁耐震補強工事を担当しました。 東名高速道路の橋梁の多くは1960年代に建設されており、現行基準で求められる耐震性能が大幅に不足していたことから、非常に大規模な工事ばかりでした。これらの現場で既設橋へのアンカー削孔や狭隘部での施工、超過密配筋でのコンクリートの品質確保がいかに困難であり、施工現場に配慮した設計の重要性を学びました。 東名阪自動車道は、国道302号や鉄道と並走する区間の橋梁が多く、施工前や施工中における道路管理者や鉄道事業者、地元等との調整の難しさや大変さを経験しました。 2回目の発注者支援業務は、国土交通省近畿地方整備局滋賀国道事務所の草津維持出張所で現場技術員として3年間勤務し、国道1号や8号の橋梁修繕工事、現道改良、舗装修繕工事などを担当しました。 非常に古い橋梁が多かったため、竣工図書が残っておらず構造が不明なものもあり、着工後に予期せぬ事態が発生することも多々ありました。また、材料や施工、外的な要因など、様々な劣化機構とその措置を実際の現場・現物で経験できました。 そして、極めて交通量が多い現道、歩行者への配慮、ライフラインの切り回し、排水の問題など、円滑に施工を進めるための施工計画の重要性を学びました。その後は会社の設計部門に戻り、これらの現場経験から得られた知見を岐阜県の橋梁メンテナンス業務に活かすことが出来ました。また、これらの知見を外部活動にも活かすことができました。 現在は、岐阜大学や愛媛大学の社会基盤メンテナンスエキスパートの講師、岐阜県基盤研究所の再劣化研究会の幹事、東海コンクリート診断士会の会長、舞鶴高専での実務家教員などを中心に橋梁メンテナンスにおける現場と設計の両面から留意点や魅力を伝える活動に精を出しています。 私は、橋梁新設設計→施工現場→橋梁保全業務というジョブローテーションで橋梁技術者の道を歩ませてもらいました。当時は、現場に出ることに前向きではありませんでしたが、今振り返ると、会社の育成方針にとても感謝しています。 そして、現在の私があるのは、社内外の多数の恩人に恵まれたおかげです。社内の鬼軍曹のような上司。入社したての甘々だった性根を叩きなおして頂き、一人前の建設コンサルタント技術者になるためには、現場経験が重要だと発注者支援業務に送り出してくれました。 出向先では、今では考えられない程の過酷な勤務でしたが、同じ釜の飯を食ったその時の仲間たちは受発注者という関係ではなく、戦友のような間柄となり、今でも仲良くしています。 岐阜の再劣化を減らしたいと集まった岐阜県内の同志たちは、互いに刺激しあい、次のテーマに取り組んでいます。 書き出せば切りが無いですが、これまでの出会いに感謝しかありません。今後は、橋梁業界に少しでも恩返しできるように精進したいと思います。 それでは、次号はオリエンタルコンサルタンツ関西支社構造部の増田貴充様にバトンを渡します。

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