パワースポットをつくる

小松 正貴

株式会社日本構造橋梁研究所
設計部部長
小松正貴さん

大学では橋梁のアクティブ振動制御理論に関する研究を行う。現場に何度も足を運ぶなか、橋の造形に魅了され、「カッコイイ橋をつくる仕事」を天職と見定め、1995年4月、日本構造橋梁研究所へ入社する。 当時は、兵庫県南部地震直後ということもあり、豊富な業務量に追われる日々が続いたが、「仕事帰りに仲間たちと、夜の街へ繰り出すことが極上のストレス発散法」だった。 入社7年目に一念発起し建設部門の技術士を取得、これを契機に1年ほどベトナムに出向し、斜張橋や横断地下道など、海外の設計手法の違いを体感する。いま振り返れば、海外での経験が、その後の技術者人生の源泉となったことは間違いない。 帰国後は、伊良部大橋や鷲見橋、生野大橋などの道路橋をはじめ、九州新幹線や北陸新幹線など、鉄道橋の設計を担当する機会にも恵まれた。 入社11年目に設計部の課長に就任、マネジメントの重要性を強く認識し、総合技術監理部門の技術士も取得した。 2017年5月に現職の設計部長に就任し、新設橋の設計や保全設計などを統括することになる。部下には、常に挑戦する気持ちで多くの経験を積み、「橋梁設計のプロとして社会貢献する醍醐味と喜び、そして自身の足で設計した橋を渡る達成感を味わって欲しい」と考える。 伊良部大橋プロジェクトは特に感慨深く、己のパワースポットとして、夏休みに家族で訪れることがルーティンとなっていたが、昨夏はコロナ禍で断念。早期の収束を願わんばかりだ。 休日は、家族で食事を楽しみ、旅行に出かけることが一番のストレス解消であったが、この春、娘が中学生となり、息子も反抗期を迎え、やや距離を感じる寂しさを、自宅リノベで解消する新たなステージに突入した。 長崎大学大学院工学研究科卒。長崎県出身、50歳。(本間俊行)

愛知製鋼