命を脅かすほどの連日の猛暑・酷暑と熱波、果ては逆走台風まで、と。もはや天候異変というより異次元気象が続いている▼平成30年7月豪雨、いわゆる西日本豪雨では北海道、近畿から九州までの広範囲な地域が被災。河川堤防とは別に新たに「ため池」決壊の危険警戒を要する状態が続くなど、従来とは異質な警戒分野が出てきている▼ため池は灌漑用水などとなるため重要な役割を果たしてきた。橋梁記者45年の中で、この「ため池」には特別な思いがある。ため池は瀬戸内地方に全国の約半数が集中することが西日本豪雨で分かった▼昭和50年代初期、淡路縦貫道建設促進の意を込めた座談会を本紙は兵庫県などと共催した。用地買収が順調に進めば、大概の建設工事は完了したも同然と言われたが、その壁となったのは「ため池」だった。地権者の中には、南米在住者もおり、交渉担当者の調査には頭を垂れるしかなかった▼この縦貫道建設座談会を契機に、用買の進捗率が大きく向上したのは幸いだった。勿論、地元民の熱意・情熱、そして南米まで足を運んだ施主の担当者の真摯かつ地道な労苦があったればこその事である。前号の本紙インタビュー記事には改めて行間の持つ意味、内容が読めてくるのは記者だけではあるまい。