先の東京五輪(1964年)では、戦後の復興を遂げた東京(日本)を、さらにその余勢を引き継ぎ、東名高速道路や新幹線の整備で飛躍的に発展した姿を世界に発信した▼ポスト「1964五輪」として、大阪万博と第3の1兆円プロジェクトと謳われた、本州四国連絡橋事業が事前にスタンバイし、五輪の成功と高揚感を日本全国に浸透させた▼それに比して、今回の五輪は何を世界に発信し、継承していくのか。五輪の先細りを危惧する向きが多いのも事実だ▼小紙取材編集陣が、大阪湾岸道路西伸部(六甲アイランド北~駒栄)の海上橋を、近畿地整と阪神高速が合併施行するというニュースを取材、前々号の最終面に掲載した。それを読んだ吾唯知足子は「隠し玉はこれだったのか」と▼近畿圏では大阪・関西万博も見込まれているが、本四の双子の斜張橋(岩黒島、櫃石島)を上回る長大連続斜張橋の建設で、これまでに蓄積された橋梁の知と経験が、全国に伝播することは間違いあるまい▼海上の長大橋などを含め、関係斯界、次世代の技術者にとって、夢と希望あふれる投資となって注目されるはずだ。後々、「令和の橋梁プロジェクト」と回顧されるようなことがあれば、今度の五輪も評価されるかも知れない。