吾唯知足2020年3月11日号掲載分

吾唯知足 まさか、小欄で2度目の「トイレットペーパー品薄(不足)騒動」を書くことになるとは思ってもみなかった。一度目は言うまでもなく、1973年頃の石油危機による狂乱物価の影響を受けた総需要抑制策という経済政策が引き金となって関西地区のスーパーからトイレットペーパーが不足しているという情報は、瞬く間に全国拡散した▼橋梁でも、明日、大鳴門橋の起工式が予定されているにもかかわらず、まさに「青天の霹靂」といわれたほど、時の大蔵大臣、福田威夫氏が「こんな(総需要抑制策)時にやるべきではない」と発言▼翌日の式典昼食メニューや記念品も一時お蔵入り、となった。これを契機に世紀のプロジェクトと謳われた本四架橋3ルート同時着工は、無期限延期に凍結された。その後、1ルート3橋方式など紆余曲折することになる▼無駄を省いて消灯されても、地域(島嶼部)と島民はめげずに一致協力して苦境を乗りきったのだ。翻って、今はどうか。政府の甘さ(マスクの配布など)にかまけて国民も甘えすぎる社会になってないか、と。幾多の大震災や豪雨禍などを乗り越えてきた実績と教訓を今の若い世代も持っているはずではないのか。それにしても3・11の追悼式の中止は残念至極だ。

愛知製鋼