漂う閉塞感をなかなか払しょくできないのはなぜか。感染の拡大がやまない新型コロナウイルスのせいばかりであると言えないのではないか▼原因の一つに毎年接近・来襲し、大雨や豪雨をもたらす台風があるだろう。あまりの多さから、日本は自虐的に「台風銀座」と自称するほどだが、この状況が平然と今日まで至っている。四方を海に囲まれた特有のもので、自然条件の克服が大きな課題だ▼台風は平成16年に過去最多の10個が上陸しているが、今年7月には、熊本などが豪雨による大雨災害に見舞われた。これは通常の台風ではなく、太平洋の海水温上昇がもたらした積乱雲が、帯状に固まる「綿状降水帯」が次々と発生したことによるもの。未曾有の豪雨を引き起こした▼だとすれば、日本列島はこの先も幾度となく豪雨災害に見舞われることになろう。7月の豪雨では、西瀬橋や球磨川第一橋りょうなど橋梁多数が流出した。この想定外の被害がなければ、橋守や橋師のメンテで、この先も橋梁としての役割を果たし続けたはずだ▼国土の強靭化を担う橋梁技術者には「想定外」と言わず、気象情報と海象情報にも精通した新たな知恵を期待したい。本号に登場している官学民、企業は主役たれ、とゲキを飛ばしたい。