吾唯知足2021年6月11日号掲載分

「王道」があるとすればコロナ禍によって、これまで、世界が築いて積み重ねてきた「王道」は、ほとんどのものが（現世と）無縁になったものが多い気がする▼東京五輪・パラ大会も直前の今になって米国が渡日禁止を声高に言い始めているのは何か（単に危険度レベル４だけか）。▼開催国日本も日本での選手が大使館職員や自国要人関係者などとの接触を禁止する声明を出す、まさに王道を逸脱する方針を出さざるを得ない本意は何か。万が一の変異株の流入、感染対策かと思うが、中止も延期も出来ずにここまでひきずってきたのは主催国の日本だ▼右も左も分からぬ選手の拠り所はそうした大使館や職員のはず。「選手と会えないなら訪日しても意味がない」と外国からの要人が来日を辞退するのは想像に難くない。「違反すれば参加資格の剥奪もありうる」とまで。外国要人だけでなく、選手や肉親なども一切の接触、交流全面禁止となれば、何の「祭典か」と思われて不思議はない▼高校野球や相撲など故郷の肉親や親類縁者の応援や贔屓で交流し、類まれな情を磨き上げてきたのが日本の「王道」でもあったのだから▼先進国日本がワクチン開発に出遅れ、接種も大幅遅れ、という崩れた王道は真摯に猛省せねばなるまい。