夏の東京オリ・パラ大会、様々な競技で日本選手の活躍が期待される一方、それまでに、どれだけワクチン接種が進むかが大いに気がかりだ▼明治の話になるが、日清戦争後、コレラ流行中の清国からの帰還兵への検疫は是が非でも必要だったそうだ▼そのため臨時陸軍検疫部が瀬戸内海の三つの小島に検疫所を建設し、20万人以上の帰還兵を検疫に送り込んでいる▼この一大事業に行政手腕を発揮したのが関東大震災に際しては壮大な復興計画を策定する、『大風呂敷』ともあだ名された後藤新平▼海に囲まれた島国にとって防疫は、地続きの国境線での対策を強いられる大陸国家より有利な立場にあるものの、その点を考慮しても、後藤が指導力を発揮し、作り上げた検疫システムは世界最先端であり、明治の日本は感染症対策の先進国であったことは間違いないはずだが・・▼時代は令和に移り3年を過ぎた現在、「ワープスピード」で進む世界に、周回遅れと言われる、日本政府はワクチン開発に関する国家戦略を策定し巻き返しに必死だ▼オリ・パラ開催まであとわずか、「おもてなし」を約束し開催を勝ち取ったこの国において『平和の祭典』をさらなる感染拡大のエピセンターとする事だけは何がなんでもしてはならない。