小紙に登場しているインタビュー取材記事を読んでいると、ある先人を思い出す▼その方は、釣り好きで、時間を見つけては、知己、友人の官吏と山深くにある地形の渓流に通い詰めていた。もちろん、渓流では岩魚やヤマメなどの大物の渓流魚の釣果を上げていたが、本当の狙いは渓流沿いの地形や地層の変化確認で、将来の砂防堤構想など砂防土砂対策であったといってよいだろう▼近年、台風や線状降水帯による豪雨など自然災害が各地で多発しており、3日に静岡県熱海市で発生した大規模な土石流に肝を冷やしたのは住民だけではあるまい。原因究明が待たれるが、土石流の起点にある盛土についても災害発生前に、前述の先人が現地に立ち入る機会があったなら、コーディネーター(水先案内人)としてより有効な指摘をしていたのでないかと想像してしまう▼ワクチン接種や東京五輪開催に至るまでのドタバタを見れば、何事にも水先案内が必要なのかもしれない。先導を担う人がいればスムーズに進んだのではないか。幸い橋梁分野には「橋守」を担うコーディネーターが数多く存在する。今後は、激甚化する豪雨災害をにらみ、地域連携を伴う専門家とのコーディネートも必要となるかもしれない。