スポーツは「感動」と「勇気」を与えてくれる。特にわれわれ日本人は、高校野球甲子園大会や駅伝、運動会や大相撲などに親しみ、スポーツの祭典や観覧の素晴らしさを子どもの頃から教えてもらってきた▼東京2020の先陣を切って、男子50㌔競歩の号砲が早朝の札幌に響き渡り、選手たちが汗して懸命に歩く姿をTV映像で観て、それが1988年に完走したサロマ湖100㌔マラソンの記憶を呼び起こし、「感動」と「勇気」が胸にこみあげた▼一年遅れのスポーツの祭典「東京2020オリンピック」は、まずまずの評価と言ってよいのではないか▼緊急事態宣言について菅首相は、「これを最後にしたい」と話していたが、感染拡大に歯止めがかからず、五輪開催の意義について「復興五輪」などもっともらしいことを言わず、「国民に感動と勇気を与えたい」と素直に言えばよかったのではないか▼従前、小欄で「終着駅」について書いたが、コロナウイルスの終着はいつになるのか▼コロナ対策が後手に回り、五輪開催賛否の対立もあったなか、選手の活躍や素晴らしいパフォーマンス、過去最多となったメダルが国民に大きな感動を与えたこの大会は、今後同様の事態が起きたとき、世界の羅針盤になりうるものであろう。