吾唯知足2022年8月11日号掲載分

吾唯知足 本特集号(2022夏季特集号)発行前、編集中の記事を読んでみると、コロナ禍3度目の夏とはいえ、安全安心な社会インフラの整備、道路・橋梁建設に取り組む高速道路会社や各地方整備局は、どこも先人と地域の思いが詰まった橋の数々をかかえているのだな、といずれも行間から読み取れ、自ずと頭を垂れてしまう▼かつて、本紙の座談会で、こんなエピソードが披瀝されたことがある。「淡路島には大きな河川がなく、農業の灌漑は溜池の用水に頼るしかない。そこで、淡路島民としては、大鳴門橋に導水管を付設してもらい、吉野川の水を淡路島に持ってきてもらいたい」と▼無論、そのように考えるのも不思議ではない。ところが、徳島県側はこれに異を唱え、「脱藩(徳島→兵庫)しておきながら、何をいまさら」と。もちろん、千載一遇のチャンスが実現しなかった理由は、そればかりではなかっただろう▼その頃は線状降水帯などによる豪雨はなく、細々、溜池の水に頼っていた時代だ。だからまさしく、大鳴門橋は、先人と地域の思いが詰まった橋だった▼しかし、今となっては徳島県と兵庫県の間に感情論などはない。淡路島の夏を彩る淡路島まつりで、華やかな阿波踊りが披露されているのがその証左だ。

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