オリンピックの感動から1年も経たぬうちに、その『闇』がこれほどの深さと広がりを見せ、よもや逮捕者まで出るとは▼2030年冬季オリンピックを招致しようと官民一体で意気込んでいた北海道にとっても大きな衝撃であるはず▼招致が実現すればコロナ禍で大幅ダウンしている観光事業の巻き返しをはかるべく、世界に向けてアピールできただろうに、まさに出鼻をくじかれた格好だ▼ところでその北海道の鉄道事情がさらに危険だ。昨年度のJR北海道全体の営業損益は790億600万円の赤字、8期連続で全線区が赤字だったという▼1980年に成立した「国鉄再建法」により、1日当たりの輸送密度4千人未満の路線の中で、バス転換が適当とされる「特定地方交通線」が選定された▼その中で、まず廃止第1号となったのが北海道の白糠線であり、その後も北海道の多くのローカル赤字路線が消えていくことになる▼鉄道会社同様、赤字の負担に頭を抱える自治体も多く、現在も複数の赤字路線について廃線・バス転換という協議が進んでいるようだ▼鉄道は安価に、大量に、そして速く輸送するインフラとして地域を支えてきた。少子化で人口減であればこそ、『闇』にのまれず地域を照らす光であってほしい。