吾唯知足2023年12月11日号掲載分

吾唯知足 現存する世界最古の木造建築物とも言われる奈良の法隆寺。多くの日本人には、「柿くへば…」の正岡子規の名句で馴染み深く、学生時代には修学旅行などで訪れた人も多い歴史的建造物だ▼聖徳太子ゆかりとも言われ、7世紀頃に建設され、金堂、五重塔を中心とする西院伽藍と、夢殿を中心とした東院伽藍に分けられるが、現存する最古といわれるのが、この西院伽藍の木造建築群とのこと▼森林面積が国土の3分の2を占める日本は、古くから木造家屋を身近に生活を営んできたが、明治期以降は多くの西洋建築の手法が取り入れられ、現代では大規模構造物の材質は鉄とコンクリートが主流である▼ただ近年は耐震技術の面から、釘を使用せず、木と木をはめ込む木組み工法で作られる住宅の頑丈さなど、その優位性が一般的にも喧伝され、見直されてきた▼木橋にも多くの名橋があり、例えば大井川にかかる蓬莱橋は全長897メートル、1879年に建設された木造の歩道橋だが「世界一長い木造歩道橋」としてギネスブックに認定された大規模構造物だ▼大阪・関西万博の会場のシンボルとして建設が進んでいる大屋根(リング)も世界最大級の木造建築となるもの。まさに日本が世界に誇れるような木造技術の見せ場となることを期待したい。

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