ようやく新型コロナの感染状況が落ち着きをみせはじめ、コロナ禍とともに停滞した旅行支援策のほか、日本経済がどのような復活を遂げていくのか気になるところだ。なにせ中国は、国内総生産(GDP)で世界第2位にまで上り詰め、米国をも抜くのではないかといわれるほどだ▼さらに驚くのは、隣国・韓国のGDPがいずれ、日本を追い抜くのではないか、ということだ。かつて、仁川(インチョン)国際空港連絡橋を建設しているとき、仁川港を訪れたことがある。同港では魚介、鮮魚店が並び賑わっていた▼先日テレビを見ていたとき、仁川港を臨むように高層ビル群が整然と林立していた▼それを目にしたとき、日本のGDPを追い抜くこともむべなるかなと。当時、韓国ゼネコン2位と言われる会社の設計士に取材したときのことだ。彼は会うなり記者にこう聞いてきた。「日本のこれまでの失敗例の物件があれば教えてくれませんか」▼彼は、今日の韓国の経済発展の礎となる「前奏曲」を描いていたのではないか。今となっては、鉄砲を肩にした警備員に断わって、鉄条網越しにカメラを覗いていたことが懐かしい▼日本はどんな曲を描こうとしているのか。東京五輪・パラリンピックをめぐる政策で国内総生産がのびるはずはない。