吾唯知足2023年9月21日号掲載分

吾唯知足 今月10日にリビア東部で発生した洪水による死者は、特に被害が大きかった港湾都市デルナにおいては6000人を超えたことが確認され、行方不明者数からも、今後、死者は2万人を超える可能性がある▼地中海の高温から発生したメディケーン・ダニエルは6~7日にかけ、ギリシャなど地中海沿岸地域を襲い、さらに対岸のアフリカへと移動、国土の約9割が砂漠のリビアにおいて記録的な大雨をもたらした▼幅の狭い川を濁流が押し寄せて4つの橋が流失、デルナでは町の25%以上が水に呑まれており、その惨状は目を覆うばかりだ▼洪水は上流にある2つのダムの決壊が引き金となっているが、ダム決壊の原因は老朽化という指摘もある▼状況の悪化に拍車をかけているのが複数の政権が国土を分割統治する不安定な政情だ。このため被災直後は国際社会からの救援活動も支障をきたす状況だった▼100年前の日本のことだが、関東大震災に際してはテレビやインターネットなど情報網のない時代だったが、窮状を知った世界40カ国から救援・支援が寄せられている▼2011年の「アラブの春」をきっかけとする独裁者の死、その後繰り返される内戦などに疲弊するリビアに早急に支援が届くことを望む。

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