吾唯知足2024年4月11日号掲載分

吾唯知足 小紙が創刊した1973年は、55年度から72年度まで続いた高度成長期、年平均10%前後で日本が経済成長を続けた時代の終焉の年である▼10%の成長は終わったとはいえ、安定成長期にあった日本の橋梁業界は本四架橋をはじめとする数多くの長大橋の建設を成し遂げ、高速道路網の充実に貢献、インフラ大国の実現に一役買ってきた▼昨年、創刊50周年を迎えたことを区切りに、この3月に刊行した「50周年記念誌」では、そのテーマを「国土強靱化への挑戦」と設定し、道路局長、橋建会長、PC建会長の3者による鼎談をはじめ、業界のキーパーソンから今後、いかにインフラを整備し、災害から国土を守っていくかを聞いた▼昨年末から、記念誌の編集作業に余念なきところ、冷や水をあびるような能登半島での地震で始まった今年。まさに国土強靱化待ったなしと思い知り、慄然とした▼橋梁業界の主たる目的の一つは、より長く、より高く、そしてより遠くを目指す橋梁の長大化があり、その挑戦が世界的にも高い橋梁技術を培ったのは紛れもない事実だ▼この「創る」技術を失わせるわけにはいかないのは当然、一方でいかに今ある質の高いインフラを維持し「護る」か、国の存亡にもかかわる重大事だ。

愛知製鋼