「2027年以降に開業」とした昨年末から、さらに2034年以降に延期するという見通しが公表されたリニア中央新幹線の開業▼日本では1962年に東京~大阪間を約1時間でつなぐことを目的に時速500キロ超を実現する鉄道としてリニアモーターカーの研究は始まっている▼今年、60周年を迎える東海道新幹線(東京~新大阪)開業が1964年、その開業に先立つ2年前、新幹線の建設真っ盛りにおいて、日本の鉄道技術者は、その次に来る超「高速鉄道」に夢を馳せていたということだ▼東海道新幹線の開業時の最高営業時速は210キロ、これはこれで世界に冠たるものだが、さらに改良を重ねた結果、現在の東海道新幹線の最高速度は285キロだ。もっともこれは曲線が多い路線のため安全を優先した速度▼2011年に東北新幹線に導入された「はやぶさ」は時速320キロでの営業速度を実現、現在では東北だけでなく、北海道の新函館まで運行する▼JR東日本の試験車両「ALFA―X(アルファエックス)」は東北新幹線、北海道新幹線への導入を見据え、2019年から試験走行を行い、最高速度は400キロを超える▼飽くなき技術の探求は続き、そして改良と進歩こそが時代の変化に先んじると信じたい。