吾唯知足2024年9月1日号掲載分

吾唯知足8月28日からパリ・パラリンピックが開催されている。セーヌ川を泳いだトライアスロン選手の10人に1人が胃腸炎を患ったなど、水質問題は今に至るも話題を提供する▼パラリンピックでも9月1日、つまり本日と明日、トライアスロンが行われるが、予定通り選手たちはセーヌ川を泳ぐのだろうか▼人間の生存に不可欠なものを3つ挙げるとして、まずは空気、日光、そして水ということになるだろう▼SF映画の金字塔「2001年宇宙の旅」では冒頭、人類黎明期の地球において類人猿の1人が動物の骨で、対立グループのリーダーを撲殺するシーンがある▼勿論、映画の話であり、道具(武器)を使うことを象徴させた場面だが、このわれらの始祖の行動も、泥水のような水場を巡る争いからだ▼「日本人は水と安全はタダと思っている」と言われるが、農耕社会を生きる日本人にとって古来、水の確保は生存に関わる重大事。江戸時代どころか昭和になってからも各地の農村で水争いに起因した暴力沙汰は枚挙にいとまがない▼空気、日光は今のところ全くのタダだが、水はそうはいかない。水害、水不足、水質汚染、そしてインフラの老朽化。蛇口をひねれば安全な水という時代は、遠からず過去のものとなるかもしれない。

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