吾唯知足2024年9月21日号掲載分

吾唯知足 パリパラリンピックが8日に閉幕、気になっていたトライアスロンのスイムは予定日の前日に降った大雨でセーヌ川の水質が悪化、1日延期して実施された。参加選手に水質を理由に体調不良を訴える選手はいなかったようだ▼パリの下水道は、雨水と生活排水が同じ管を流れる「合流式」。大雨で増水すると処理能力を超えてしまうため、生活排水までもが処理されないままセーヌ川へ流れ込んでしまう▼パリの下水道の歴史は古く、ローマ時代から整備されていたようだが、19世紀に入っても衛生的にはかなり問題があった▼飛躍的に改善したのがナポレオン3世の治世下、1853年に始まる、当時のセーヌ県のジョルジュ・オスマン知事による都市整備事業だ▼「パリ大改造」として、道路拡幅や区画整理、スラム街の撤去などフランス最大の都市整備事業と言われ、今に至るパリの美しい街並みの基礎を築いている▼この時に上下水道の整備を担当したのが土木技師ウジェーヌ・ベルグラン。1853~69年までに排水トンネルを拡大して維持管理を容易にし、下水道網の規模もこの間に4倍以上に拡げている▼パリの衛生面での貢献は計り知れず、たびたび起きていた大規模なコレラ流行の防止にも大いに貢献した。

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