吾唯知足2025年2月21日号掲載分

吾唯知足 2年前、ChatGPTが話題を呼び始めた頃、橋梁技術者にAIの土木の新設・管理における可能性を質問した。AIは確率論に基づくので完全な保証はないと否定的だった▼現在のAI技術は橋梁維持管理に革新をもたらすかもしれない。全国約70万橋の老朽化に効率的な点検と補修は不可欠だが、人手不足や技術者不足、点検コストの増大など課題は山積みだ▼AI橋梁診断支援システムは、AIが橋梁の画像と諸元情報を解析し、劣化要因と健全度を熟練技術者と同等の精度で判定する。点検者は現場撮影した写真と簡単な情報をクラウドにアップするだけで、AIが劣化個所を特定し、健全性を診断する▼AIの判断はデータに依存するため、見落としや誤診のリスクがある。最終判断は人間が行う必要がある。AIに頼りすぎると技術者の育成が遅れ、緊急時の対応能力が低下する恐れもある▼AI導入の目的は点検の効率化とコスト削減だ。サポート役としてAIを活用し、技術者の育成に力を入れるべきである。現場での経験を積み、五感を働かせて異常に気付く力こそが、橋梁の安全を守るために最重要だ▼AI技術の高度化により、AIと人間の強みを活かし、安全で効率的な橋梁メンテナンスの実現が期待されている。

愛知製鋼