吾唯知足2025年4月11日号掲載分

吾唯知足 東京では桜が満開となり春らしい気候になった。道路事業は開通シーズンを迎え全国で式典が行われている▼3月に取材で訪れた4車線化事業の開通式には、地元選出の大物政治家が登場しテープカットやくす玉開披を執り行った。地元中学校吹奏楽部の演奏や伝統行事の保存会による演舞が披露され盛会となった▼仕事柄、起工式や定礎式・閉合式・竣工式など様々な式に立ち会わせていただく。最も印象深いのはトンネルの貫通式で発注者から下請けまで多くの参列者が参加して伝統行事が行われる▼発破点火などの貫通セレモニーにはじまり、出席者全員で万歳三唱、掘削工事の専門施工者の方々が樽みこしをかついでトンネル内を練り歩き、鏡開きをして神酒も振る舞われる。常に危険と隣り合わせて工事を行う施工者の喜びを肌で感じる▼どの式も工事の安全を祈り完成を喜ぶものだが、昨今はセキュリティやコンプライアンスが厳しくなり、報道エリアは最後列へと後退気味だ。そのうち会場に入れてもらえなくなるのではないかと危惧している▼地域の方々から管理者、施工者まで、取材を通じて多くの喜びに触れるたびに「土木は素晴らしい」と思う。インフラが地域の財産であることを意識して報じていきたい。

愛知製鋼