地図に残る仕事がしたい

石橋 努

株式会社復建技術コンサルタント
執行役員 構造技術部長
石橋努さん

「地図に残る仕事がしたい」と思い、建設コンサルタントに入社し、あっという間の30年経った。学生時代の構造力学のたわみ角法、三連モーメント等で苦しめ(?)られたが、会社に入り骨組み計算ソフトを使用した時に「なんて画期的なんだっ」と、秘かに感動した思い出が今も鮮明に思い出される。 大きい見栄えのする橋は携わらなかったが、多くのひとに育てて頂いたと感じている。 「とても生意気だったと思うのですが、好奇心だけは旺盛で、解らないことは発注者問わず聞いていましたが、とても親切に応えていただきました。上司はかなり大変だったと思います」 忘れることができない出来事は、とあるトラス橋の点検があるから来てみないか?と誘われ、行った翌日に部材が切れ、その日から3日間の徹夜でフラフラでしたが「無事に開通できた、ありがとう!」と言われて心が震えたことだ。 この時に学んだことは、通行止めから暫時復旧までの手順、計算で想定し現場で計測・検証する手法だった。 「無論、私だけではなく構造系社員総出となり、また官民隔てなく目標に向かい達成できたことがこの仕事の本質だと今でも思います」  毎年のように頻発する災害で思うことはムリに橋脚を造らないということ。橋脚を設置し安全なつもり、経済性で有利なつもりでも施工の手間・期間がかかり、しかも洗掘してしまうリスク、管理性もよくなく、反って高上りの事例もある。流量だけでなく流況・被災事例も交えて計画するように努めている。 時代は個別対応となってきていて、東北でも困っていることが多々あるように感じている。「ひと繋がり、ひとに育てられてきましたので、恩返しの意味も含め、うまく紡げるよう、より多くの「はしわたし」をしてみたい」と思っている。 出身は青森県、五十一歳。 (永島誠司)

愛知製鋼