エムケービルド株式会社
取締役関東事業所所長
北野 悟さん
大手塗料メーカーの技術者だった実父が2004年に創業。当時は、異業種の営業マンとして脂がのってきた時期だった事から、道路・橋梁の補修材を開発・販売する同社に直接、関わる事はなかった。
2012年12月に正式に入社。商品の売り込みに歩く傍ら、補修現場を訪れ、また様々な道路関係の文献を読み漁る。東日本大震災の被災状況の写真から、高速道路の舗装が、打ち継ぎ目から崩れている事に気づく。
「それを裏付ける調査報告も読み、高耐久の止水テープの開発にチャレンジしたいと思いました」。多くの舗装会社を回り、共同開発を提案、ようやく引き受けてくれた1社と共に『クイックシール』の商品化に漕ぎ着けた。室内試験を経て、13年6月、NEXCO東日本所管の長野自動車道で試験施工が決定した。「服装からハザードランプをつけるタイミング、駐車方法など、現場のルールを舗装会社の人に指導されました」と当時を振り返る。「品質は概ね好評、ただ施工性を重視する現場監督の意見を聞き、新たに施工機械の開発に携わりました」。NEXCOが仕様化し、5年余りで150キロ超の実績を得る。
現在、アスファルト系高性能防水の商品化に注力。MMジョイントなどと併せ、橋梁・道路の長寿命化に貢献する技術だ。
「ようやくヘルメットと作業服が板についてきたと思っています」と笑う裏には、畑違いの分野に飛び込んで来た自分を、容赦なく、また温かく指導してくれた人達への感謝がある。
「多くの人に支えられているからこそ、顧客が満足し感謝して頂ける仕事をしたい。それが恩返しです」と語る。大阪市出身。43歳。(川村淳一)