魔法使い

亀村 治彦川田工業株式会社 大阪支社
橋梁事業部 営業統括部大阪営業部 担当部長
亀村 治彦

私は平成3年に川田工業に入社しました。橋梁の営業として気が付けば32年間も橋屋として務めさせていただいております。今回本連載の執筆という貴重な機会をいただきまして非常に嬉しく思います。この機会に皆様に感謝申し上げます。元気に暮らしております。本当にありがとうございます。 新入社員当時、地元京都での川田の施工実績を調べると、自宅近くの橋が自社の施工であり、高校時代の通学路の工事が当社の現場だったと会社との縁を感じながら、京都府の宇和田橋という耐候性鋼材を使った2径間連続鈑桁の営業担当を仰せつかりました。着工届や引渡書等の書類の作りだけにとどまらず材料検査や仮組検査など実物にも関われた橋でした。諸先輩方にご指導いただいて職務を全うしたときは大きな達成感でした。耐候性鋼材の橋でしたので保護性錆の発生状況確認も兼ねて、完工後も営業途中に現地を訪ね、錆の成長を見守り竣工後も府に状況報告しておりました。先日、府の当時のご担当者様に最近の状況をご報告した際には非常に喜んでいただけました。 平成18年8月には関東勤務となり約9年間、東日本の橋梁を担当しました。平成26年の春から再び大阪勤務となり、来春3月16日に開通する北陸新幹線の橋りょうも4工事担当させていただき、金沢―敦賀間の開通を楽しみにしております。 令和2年6月に再び東京勤務となり、令和3年4月から一般社団法人日本橋梁建設協会に2年間出向しました。コロナ中の単身赴任であり家族に過大な負担を掛けながらの東京勤務でした。色々な経験をすることができた貴重な出向期間でもありました。 令和5年4月に大阪に再び帰任し、近畿の自治体担当として近畿を走り回っております。 6月2日に和歌山県内営業活動の際に「梅雨前線及び台風2号による大雨」に遭遇し、改めて日本という国土は災害が頻発する事を再確認しました。自然の前では人間は微力な存在ですが、力を合わせて協力する事で、乗り越えられると思っています。「人と人が争うのではなく、協力しながら自然災害をしなやかに受け流す」必要性を再認識しました。「人と人は助け合いながら生きのこる」という事が本当に重要なのであると実感しております。 最後に若い皆様に1つ認識していただきたい事があります。橋の建設などのインフラ整備は人々の生命と財産を守る重要な仕事であり、人や物流が迅速に移動できる事は、昔の人からすると「魔法」なのだと。現在90歳の父親が申しておりました。「道路や鉄道ができて便利になる。昔は東京まで8時間必要だったが、今は2時間半。宅配の荷物も翌日到着。これは凄いよね。魔法だよ」と。これからの建設業界を支えていただく若い皆様も、建設の仕事において「魔法使い」として、インフラを使う人々の笑顔を創造していただきたいとお伝えさせていただきます。 次回は「特級魔法使い」のCS―LABOの谷口潤さんです。

愛知製鋼