吾唯知足2019年5月11日号掲載分

吾唯知足新天皇ご即位で新時代「令和」が幕を開けた。史上初の10連休に無聊をかこつ中であっても、テレビで中継された一連の儀式は胸を打つものがあった▼振り返れば「平成」は「昭和」の巨大なうねりに比べ、経済的にはわずかずつの縮小、そして国力は穏やかに落下を繰り返してきたと言ってもいいだろう▼さらに広域的かつ大規模化な災害が頻発したことは、とりわけ後半において「平成」の世を不安にさせたことが否めない▼そうした自然災害の発生において、上皇陛下は上皇后陛下と共に被災地に赴き、力を落とす被災者にひざ詰めで言葉をかけ、またその言葉に耳を傾けて来た▼4月30日の退位の礼では、安倍首相も退位礼正殿の儀において国民代表の辞を読みあげ、特に「国民に寄り添い、被災者の身近で励まされ、国民に明日への勇気と希望を与えてくださいました」と述べることで、国民の思いを代弁している▼上皇陛下のお姿に感動することとは別に、課題として残された国土強靱化は未だ道半ば、いや不十分と言わざるを得ない。「令和」のスタート、その号砲は既に世の隅々までに響き渡った。「平成」に積み残した課題は、この「令和」において、さらなるスピード感をもって進めて行かなければならない。

愛知製鋼