システムで現場を変える

酒井 秀治

計測ネットサービス株式会社
ソリューション統括事業部 西日本事業グループ技術専任部長
酒井 秀治さん

公園建設に夢を抱き、大学で土木工学を学ぶ。造園会社で8年間、施工管理などを経験、2001年に同社に転職した。 入社間もなく、進捗中の静岡空港建設に携わる。滑走路直下にある新幹線トンネルへの影響の有無を管理する、自動計測の管理システムが必要とされ、同社のトータルステーション(TS)による軌道計測システムと、赤外線カメラの監視システムも採用が決定していた。 「会社は創業3年、社員数も今と違ってまだ少人数、社を挙げてのプロジェクトに携わることができたのは幸運でした」。だが、『前例のない現場』に向けたシステムづくりであり、導入まで相当苦労したという。稼働後も維持管理の責任者を空港完成までの8年間担当した。 多くの現場支援のシステムづくりを経験しており、東日本震災後には、復興道路の施工者から、PC橋の張出し架設の際、桁の高さ管理を、TSを使った自動計測で行えないかと相談を受けた。 「当時の私は橋梁工事未経験、まずは現場に赴き施工のイロハを学びました」。課題も多く、導入までの時間も少ない中、東北の復興に貢献したいと願う、社内の同僚にも協力を得て問題解決を図る。「全て自動という訳にはいきませんでしたが、何とかシステムを仕上げました」 施工者からも満足の声が上がり、この工事の後、橋梁の計測システムの依頼が増加、今では同社の技術でも、橋梁は最も高いシェアを誇る工種だ。 公園建設に携わっていた頃、図面には紙と鉛筆が、資材注文には公衆電話が使われていた。「今はスマホでタイムラグなしの現場状況を確認する時代ですからね」。生産性革命へと突き進み、ICTの活用は必須だ。 「計測データだけでなく、気象、荷重、振動、様々な情報を現場ごとにクラウドで管理できるシステムが、現場を変えて行くと思います」 出身は千葉県、五十歳。 (川村淳一)

愛知製鋼