各国首脳は、新型コロナで疲弊、沈下した自国経済の復活に苦悩している。一方で新規感染者の激減に呼応するかのように、新たな課題にも直面している。ほかでもない。世界で起きている異常気象による気候変動対策だ▼温室ガス排出の現状を続ければ、新型コロナ以上に地球上の大きな難題となりかねない。先進国や途上国の首脳クラスが英国のグラスゴーに参集し、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP26)を開いた。わが岸田文雄新首相も参加したが、007並みの印象を残せたのかじっくり報告を聞きたいものだ▼世界には厳しい干ばつにより農作物が取れず、住民が食料不安に陥っている地域もある。深刻な状況が続けば、食糧不足による紛争や混乱にもつながりかねない。地球の温暖化対策はまったなしの状況だ▼日本も安閑としてはいられない。国内はもとより、国外でも人件費の安さから温室ガス排出量大国の中国に生産体制を依存しており、地球環境対策の強化が必須だ。まずは中露を引っ張り出し、途上国の手本にさせる必要がある▼欧米と中露が気候変動対策で足並みをそろえることは容易ではないし、再生可能エネルギーへの移行も資金面など課題山積だが、可能性に限界がないことも銘記しておきたい。