前号の小欄で、吾唯知足子は北京冬季五輪について、中国への忖度や依怙贔屓は全くないとことわりつつ、新型コロナウイルスが全世界で蔓延、混沌とする中、中国に世界中の国境と民族を超えて集合したのはさすが世界経済第2位までのぼりつめた大国・中国だと称賛した▼しかし、大会終盤になると色々とほころびが見え始めた。果たして「オリンピックは平和の祭典」というが、標語とはほど遠くなってきた印象が色濃くなっていった。勿論、競技によっては感動したり、感嘆したりする競技も少なくなかった。果たして「北京で五輪を開催したことが妥当だったかどうか」「ロシア選手の参加は、妥当だったか」いずれ、専門家が判定するだろう▼後半はROC(ロシア・オリンピック委員会)として選手が個人資格で参加したロシアのドーピング禍、IOCトップのバッハ会長とゴシップで話題になった中国プロテニス選手との会食、懸念される人権弾圧・人権侵害も習近平主席寄りのスタンスで雲散霧消にしてしまうなどネガティブな話題は枚挙にいとまがなかった▼結局、大会は国の威信を高める手段となり、メダル獲得だけが国威発揚の近道とばかりに見えた。国の責務とは何かを考えさせられた北京冬季五輪となった。