小紙は2月21日号の3面で「岩城橋」の3月20日開通について報じた。この橋の開通により、愛媛県の岩城島・生名島・佐島・弓削島が結ばれる「ゆめしま海道」が誕生する▼ほぼ並行に走る「しまなみ海道」がすでに全国的な人気サイクリングエリアとなっており、これと対を成す海道の完成は愛媛県だけでなく、しまなみ海道にかかわる周辺自治体からも大きな期待が寄せられている▼「ゆめしま海道」誕生に記者が思い入れを強くするのも、本四架橋の先陣をきって建設されたのが、しまなみ海道の一翼を担う大三島橋(橋長328メートル、アーチ橋)であるからにほかならない▼時代はまさに1970年代の2度の石油危機、総需要抑制策で、多くの公共事業が頓挫、休止を余儀なくされ、橋梁業界でも未来が見通せない中で、闇を払うかのように、一条の光となった架橋事業だ▼当時の仮谷忠男建設大臣は本州四国連絡橋プロジェクトの凍結解除を決め、1975年12月に大三島橋の着工式に出席した際に喘息をこじらせ、急死している▼大三島橋が1979年に完成し40年以上が過ぎた。時代は変わり、当時を偲ぶよすがはないが、本四架橋を彩る、様々な橋梁群のパイロットとなったあの橋は未だ健全にして揺ぎ無い。