愛媛県南予地方局八幡浜土木事務所が整備を推進中の八幡浜道路では、今年度の開通に向けて橋梁工事が終盤を迎えている。 八幡浜道路(八幡浜市郷~大平、延長3・8キロ)は、地域高規格道路の大洲・八幡浜自動車道(大洲市北只~八幡浜市保内町喜木、約14キロ)を構成する4路線のうちの一つで、開通によりリダンダンシーの確保や産業振興、観光地へのアクセス向上、救急医療搬送への対応のほか、八幡浜市内の慢性的な渋滞の緩和などの整備効果が期待される。 橋梁は千丈川橋(橋長19メートル、上部工形式:プレテンション方式PC単純中空床版橋)と郷高架橋(仮称)、入寺川橋(25メートル、ポストテンション方式単純中空床版橋)、萩森高架橋(橋長139・7メートル、PC2径間連結コンポ桁橋+PC2径間連結バルブT桁橋)の4橋を整備する。トンネルは千丈トンネル(延長1809メートル)と松柏トンネル(延長1090メートル)。 橋梁工事の状況は、終点側の八幡浜ICに接続する萩森高架橋(設計:エイト日本技術開発、上部工施工:愛橋)が今年3月に完成。千丈トンネルと松柏トンネルを接続する入寺川橋(設計:荒谷建設コンサルタント、上部工施工:愛橋)も平成24年12月に完成しており、現在は郷高架橋(仮称)で上部工の架設が進行中だ(写真)。 郷高架橋(仮称)は橋長200・0メートルの鋼2径間連続鋼床版箱桁橋で、設計はエイト日本技術開発。下部工の形式は逆T式橋台と張出式橋脚。下部工施工は鉄建建設(A1)、堀田建設(A2、P1)、瀬戸建設(A2、P1)、新光建設(P1)。 現在、鉄建建設、川田工業が上部工を架設中で、起伏の激しい山岳地域にあることから、スパンごとに送り出し架設とクレーン架設を行う。送り出し架設では、桁の組み立てから送り出しを3回繰り返して架設し、最後のスパンは橋桁をクレーンで吊り込んで架設する。12月の工事完了を目指す。 大洲・八幡浜自動車道は、終点側の名坂道路(八幡浜市大平~保内町喜木間、2・3キロ)が平成25年3月に開通したが、残る八幡浜道路と夜昼道路(大洲市平野~八幡浜市郷、4・2キロ)、大洲西道路(大洲市北只~平野、3・3キロ)が事業中でミッシングリンクとなっており、八幡浜道路が完成することで全線のうちの約半分を供用できる。 大洲・八幡浜自動車道は、四国8の字ネットワーク(津島岩松IC以南)と今治小松自動車道(今治IC~今治湯ノ浦IC)」とともに、愛媛県における高速道路ネットワークの3つのミッシングリンクの1つとなっており、広域ネットワークの形成により大規模災害や広域救急医療体制に対応する「命の道」として早期の全線開通が期待される。