蓄積した知見、見識をもってしても、なかなか解決できない世界共通の悩みが台風や豪雨、強風などによる気象災害だ▼今夏も、非常に大型の台風11号が発生し、沖縄・九州を中心に停電や倒木・倒壊などの被害を及ぼした。その後も朝鮮半島に上陸し強い勢力を維持し続けた。これ以上惨事が拡大しないよう願うしかない▼近年ではゲリラ豪雨と呼ばれる局地的大雨や線状降水帯といった気象用語が一般化しており、橋梁や堤防などインフラの大被災も少なくない。気候変動を踏まえた水災害対策のあり方について、これまで以上にインフラ整備の知見を生かした対策が求められる▼世界共通のテーマをもう一つ。前号でも取り上げたが、「最後のフロンティア」アフリカの開発についてだ。中国に比べ日本はアフリカへのインフラ開発などの分野での支援が大きく出遅れている▼これまでアフリカ開発会議(TICAD)が主導的役割を担ってきたが、TICAD以上に蓄積した知見が必要だ。国交省提唱の「インフラシステム海外展開の推進」では、アフリカにおける「質の高いインフラ投資」の促進を掲げている。治安や感染症などの課題はあるが、これまで蓄積した産官学に及ぶ膨大な見識を生かし解決していきたい。