メイコーエンジニヤリング株式会社
常務取締役 営業部長
原田茂喜 さん
排水管施工業者から橋梁土木製品を扱うノナガセを通じて、橋梁排水管屈曲部で使える角度調整可能なゴム製エルボがあればという話を受けて共同開発したのが「MEC―L・LTジョイント」だ。 橋梁の添架配管は気温変化に伴う橋桁の伸縮や通行車両が引き起こす振動により、常時損傷の危険にさらされている。 従来型の硬質塩化ビニールの素材はその硬さから設置の際の調整が難しく、角度調整ができれば施工性が向上し便利になる。また硬質塩ビの線膨張係数が主桁の鋼やコンクリートと異なることから破損に至るケースもある。 実は40年ほど前に簡易的ではあるが、同様の製品を製造・販売していた経緯があった。 ただ当時は橋脚ごとに排水管を設置するのが一般的であり、横引き配水管が少なく、施工後の時間もわずかなことから、現在のように多くの破損が見られたわけではなかった。そのため初代の製品は普及することはなく、数年後には廃止することとなった。 一度失敗に終わった製品を再度販売するには不安もあったのだが、共同開発者であるノナガセのアドバイス協力もあり、時代のニーズに合った製品を開発することに成功した。 開発に当たって、苦労した点は、L・LTジョイントを一体成型することだった。数パーツに分割して接着する方法も検討したが、安定した接着強度の発現に不安が残っていたため、均一な製品を供給していくためには、どうしても譲れない部分だった。このため開発から完成までに約2年の歳月がかかった。 「排水管からの漏水は橋梁本体に甚大な損傷を引き起こす危険性があります。新設橋、橋梁補修を問わず、L・LTジョイントを採用していただくことで橋梁長寿命化へわずかながら貢献できるものと考えています」と製品への自信を覗かせた。 兵庫県三田市出身、53歳。 (永島誠司)