山一化学工業株式会社
営業本部 剥離事業部 部長
石井 達実さん
高校卒業後、車のメカニックを目指し、整備士の国家資格を取得するため専門の大学に進学。地元新潟で就職を希望し、都会に出てトヨタや日産に進む同級生を横目に、特にエンジン関係で高度な技術が必要とされるホンダの求人に挑戦、入社する。 好景気の余韻が続いていた時代で車の販売は好調、当然ながら整備の仕事は多忙を極めた。やりがいは感じていたものの、深夜までエンジンルームと格闘する日々が続き、「この先何十年もこれが続くのか?」と考え始めていたころ、大手塗料メーカーの求人を見つけ転職を決断。 入社後、燕三条地区の焼付塗料を担当したが、25歳で東京に転勤、防食担当としてファブリケーターも任され、「構造物の防食は社会に貢献する技術だ」と確信。当時主流だった「塗り重ね」に対し、とある現場で接触した山一化学工業の剥離剤に強烈に引き付けられるものを感じて、2012年に同社に転職した。 当時、同じビルに土木研究所の出先機関が入っていて、「剥離剤の共同研究が行われていたことは幸運」だった。前職で塗料を知りつくし、身を持って体験してきたことが強みとなり、「研究所と協業できたことは貴重な経験だった」と振り返る。 これまでの多くの知識と経験を糧に現在、水系塗膜剥離剤工法等研究会の事務局長を務め、剥離剤の普及・発展に力を注ぐ。 「30年近く苦楽を共にし、支えてくれた妻には感謝しかない」と話す愛妻家の趣味は、「妻が好きな海外旅行に〝付き合う〟こと」で、毎年およそ3回、これまでに旅した国は40カ国以上にのぼる。現地で宿を探し、ガイドブックでも紹介されない土地に足を運ぶ石井家オリジナルツアーを夫婦で満喫する。 もっともコロナ禍のここ数年は海外の代わりに家族で全国の温泉を巡るマイカー旅行が主流で、「各地で飲む酒は格別」だ。 新潟県新潟市出身、56歳。 (本間俊行)