建設現場や現場に起因する従事者の死亡がなかなかなくならない。人命にかかわる。業界に身を置く者として、真剣に取り組まねばならぬことの一つだ▼昨年暮れに、すべての建設工事従事者の安全や健康の確保に取り組む超党派の議員連盟、通称・足場議連らによる議員立法で「建設職人基本法」が成立、死亡事故撲滅はその骨子の一つだ。施行は今春3月▼先週6日に衆議院第一会館であった会合では、建設業者から、法律ができ施行に至ってもなお、まだまだ現場は躬行に及ばず、急激な改善に繋がっていないとの焦りが示された▼海外の例も紹介され、イタリアでは90年開催のFIFAワールドカップ用途で10のスタジアムを拡張、678件の労災と24人の死者を出した経緯から、建設工事法制を整備、法制定の翌年から目に見えて激減したという▼建設団体によれば、一人親方を含む建設業死亡者数は年間400人規模。厚労省は製造業のそれが170人という。業界を問わず、撲滅に向け汗をかくべきであろう▼6月には基本法を実行していくための基本計画が閣議決定され、現在は国交省や厚労省などの関係機関が、建設業界団体などと連携しながら基本計画に明記された施策を推進する段階だ。進捗を注視していきたい。