6月下旬に沖縄や奄美諸島がいち早く梅雨明け宣言を出したものの、7月も半ばの現在もそのほか地域では豪雨による被害が発生している▼とりわけ九州一帯では7月に入って連日の大雨で、線状降水帯が確認された地域では記録的な雨量が観測されている▼3日の早朝には、熊本県山都町の国道445号に架かる金内橋が、増水した御船川の流れに屈し崩落▼両断され崩落した橋の無残な状況を見るにつけ、水流の激しさが想像される▼交通が寸断されたばかりか、橋には水道管が設置されていたため、町内の2地区30世帯ほどが断水するなど、地域住民の生活に大きく影響しているという▼落橋した翌日には早速、国総研、土研、九州地整のTEC‐FORCEが現地入りし、詳細に調査にあたっている▼橋長37メートル、幅員7メートルの小規模な橋とはいえ、地域住民の生活を支える重要なインフラ、この崩落を国土強靱化に向けた教訓の一つとしたいところだ▼実はこの近傍にもう1橋、金内橋の名を冠した橋がある。こちらは単アーチの石橋で、橋長は31メートル、大小2連の眼鏡橋だ。1850年(嘉永3年)架橋という歴史のある橋ながら、今も現役のインフラとして住民生活を支えている。まさに適切な維持管理の賜物といえる。