昔のことだが、自動車免許取得のため、教習所通い始めた頃は興味深い話や実例、具体例を学び、気が引き締まったものだ▼生徒が免許を取得し、事故を起こした場合、事故現場に教習指導員を連れていき、「これがあなたの指導していた生徒が起こした事故だ」と確認、検証する。いくら仮免許を与えた生徒でも本来なら、ハンドルを握ってはいけない、その資質を見抜けず本免許への道を作ったことへの責任を指導員に認識させるためだと思うが、今もこうしたシステムがあるかどうか、知る由もない▼坂出工事事務所で現場から戻る杉田秀夫所長を待っていると、現場から戻った杉田所長はいきなり記者に「じゃ岡山県側の起点、児島まで行ってきて」と難題を。今でこそ雄壮な橋梁群が建ち並ぶが、その橋梁形式の影も形ない番の州高架、南北備讃瀬戸大橋、岩黒・櫃石島大橋、下津井瀬戸大橋までの瀬戸大橋ルート沿いの大波の上を小舟が飛び跳ねるように無事往復したことが本四記者のスタートだった▼旧丸ビルクラスの巨大な鋼殻ケーソンを曳航、沈設する工事場所がいかに難所の海であるか、取材前の指導、教習だった。船内では頭が天井までぶつかっての大騒ぎだったがこの時の体験を今でも橋梁記者の教本としている。