吾唯知足2023年8月21日号掲載分

吾唯知足 「沸騰するように」暑かった7月、加えて8月は相次ぐ台風の襲来で、全国各地で大きな被害が発生している▼そして今年の夏は広島、長崎に原子爆弾が投下されて、78回目の夏でもある▼ひと言で原子爆弾と語られるが、広島市に落とされた爆弾はウラン235を用いたガン・バレル(砲身)方式、長崎のそれはウランより重いプルトニウム239による爆縮方式。ただ共通するのが「その日」は晴れた朝だったということ▼それは当然で、実は長崎市は原爆投下の第一目標ではなく、そのはずだった小倉が雲で覆われ、視界が悪かったため第2目標の長崎市に投下されたそうだ▼記者はかつて長崎市に出張した際、市内を流れる中島川沿いを歩き、中心部に架かる常盤橋から上流、2~3分の位置で「原子爆弾投下照準点」と記された説明板を見た▼その日、市中心部の上空にも雲がかかっていたため照準点から3・4キロほど離れた松山町が急遽、「そこ」に指定されたそうだ▼上空約500メートルで原爆はさく裂、その瞬間地上を約3000度の熱が焼き尽くした▼常盤橋から200メートルの位置には江戸時代前期の1634年に架橋された2連アーチ橋の石橋、眼鏡橋があり、この夏も人気の名所として多くの人が訪れ、賑わいを見せている。

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