大成建設株式会社
国際支店 フィリピン南北通勤鉄道事業CP01工区(土木)工事 課長
大嶋 雄
私は1999年に大成建設に入社しました。就職氷河期世代に当たり、「ものづくりに憧れて土木工学の道に進んだのだから、初志貫徹してはどうか」という父の言葉に背中を押され、建設業界の門を叩きました。 社会人として24年目を迎え、国内の現場に3年間、国内の設計・技術業務に12年間、海外工事に9年間携わってきました。 橋梁との出会いは入社2年目に配属された釧路の茶路川橋りょうという鉄道橋の架替工事でした。 現場規模はコンパクトながら、場所打ち杭工、仮桟橋工、河川内橋脚工、全支保工による箱桁製作工、PC緊張工、橋面工といった一通りの工種を経験しました。 20年経過した現在でもその時の工事風景は鮮明に覚えており、この現場で培った経験が私の橋梁技術者としての原点となっています。 入社4年目に本社の設計部に異動しました。厳しさと優しさを兼備えた人情味あふれる諸先輩方にもまれながら、決して腐らず一度指摘されたことは忘れないことを信条に、設計者としての道を一歩ずつ踏み出していきました。 最初に担当した詳細設計は、秋田の芦川第二橋という外ケーブル方式の波形鋼板ウェブPC箱桁橋でした。特に、波形鋼鈑のせん断変形にともなう上げ越し量の補正計算に手を焼いたことを記憶しています。 冷や汗の連続でしたが、発注者―作業所―設計チームが一体となって課題を一つずつ解決して積み上げていくことに、何とも言えない高揚感を覚えました。そこから、設計者としての経験を積んでいきます。 大型移動支保工によるPRC2主版桁橋、上下部基礎一体の波形鋼板ウェブPC橋、技術提案、海外橋梁、PCタンク、荷役桟橋、海上連絡橋、更新事業での下部基礎の設計等、数多くの案件を担当してきました。 その中でも転機となったのは、海外橋梁において、ヨーロッパの一流といわれるエンジニアとコンサルタントとのやりとりを通して、多少なりとも手ごたえを感じることが出来たことです。今までやってきたことへの自信と、更なる高みを目指そうという気持ちが生まれました。 時系列だけを追うと、本社の設計部と海外作業所を行ったり来たりしています。海外では、アルジェリア、スリランカ、フィリピンを経験してきました。 特に、スリランカOCH工事は設計施工案件であったため、詳細設計を完遂し、インターチェンジ部の直傭工事を担当しました。容赦なく迫り来る期限、そのプレッシャーたるや想像を絶するものでした。 そこから学んだことは、「多少の風が吹いても崩壊しない組織作り」「明確な方向性を示し情報共有」「シンプルな指示出し」をすることです。 社外では、PC工学会の編集委員会、道路協会のコンクリート橋設計・施工便覧WG等を通して、先生方・同業他社の皆様から多方面の刺激を受け、また、色々な悩みも相談させていただきました。 今後とも、頭でっかちにならず、広い視野をもって、国内外を問わず必要とされる橋梁技術者を目指して、精進していく所存です。次回は社外委員会にてお世話になっています、清水建設の小野秀平様にバトンをお渡しします。よろしくお願いいたします。