吾唯知足2023年12月1日号掲載分

吾唯知足 1970年に開催された先の大阪万博だが、その当時の日本は1950年代半ばから続く高度経済成長期にあり、年平均10%の成長を続けていた。1968年にはGNP(国民総生産)はアメリカに次ぐ世界第2位、名実ともに経済大国だった▼海外からは77カ国が参加、個性豊かな様々な国のパビリオンの中でも人気は言わずと知れたアメリカ館の「月の石」。この石を一目見ようと行列を作る人々の姿に、アポロ計画という最先端を行く科学技術への憧憬と好奇心の限りない熱量を感じたものだ▼小紙記者は当時、多くの人との出会いから橋梁新聞創刊を思い立ち、橋梁業界に一石を投じるべく東奔西走の毎日であり、万博に足が向くことはなかったものの、同じ時代の熱気は共有していたと思う▼翻って2025年開催の「大阪・関西万博」だが、海外パビリオンの建設は遅れに遅れ、予算も当初の金額から膨張しついには3000億円を超えるとされ、開催を危ぶむ声すらある▼かつて「万博」の向こうに、燦然と輝く未来を見ていた者にとって、この国際的なイベントが中止になることなど考えたくもない▼様々な逆風に抗って本四プロジェクトを完遂せしめた、この国の底力を今こそ世界に見せてほしい。

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