中国の月面探査機「嫦娥6号」が、この2日朝(日本時間午前7時23分)に月の裏側、南極エイトケン盆地に着陸したという▼中継用の衛星を介して地球と通信、複数の地点で表面や地中から土壌や岩石のサンプルを採取したという▼着陸から2日間の作業の後、4日(日本時間朝8時40分頃)、サンプルと共に月面を離陸し、月の周回軌道に入ったという▼エイトケン盆地は隕石の衝突でできた、月では最大の衝突クレーター、その大きさたるや、直径約2500キロ、深さ約13キロとされる▼かつてこの巨大な盆地を含め月の裏側の各処の観測に大きく貢献したのが2007年9月に打ち上げられた、日本の月周回軌道衛星「かぐや」だ。2年近い活動期間の間に、月の裏側の重力分布の計測ほか様々なデータを取得、送信に成功している▼嫦娥6号が持ち帰るサンプルが月の内核の奥深くから出てきた物資である可能性があり、それを調査分析すれば太陽系の惑星の形成過程、また水の起源などの解明にもつながる可能性があり、世界中の研究者が、その成否に注目しているという▼未知の領域に挑み続ける科学者や技術者たちの努力が様々な進歩をもたらしてきた。国や業種が違えども、パイオニア精神にかわりはない。