維持管理との出会い

齋田 浩之エバーストラクション株式会社
技術部 部長
齋田 浩之

私は関西大学工学部土木工学科土質力学研究室で西田教授にご指導を頂きました。バブル期に大手ゼネコンへ就職しましたものの、ほどなく建設が嫌になってしまい、名古屋高速道路(以下、名高速)の維持管理業務を行っていた蔦井に入社し、ここで20年近くを過ごすことになります。  入社してすぐに「ゆとりーとライン(名古屋ガイドウェイバス)」の維持管理業務(雪氷作業含む)と清掃業務の現場代理人となり、これに3年間携わりました。この業務と並行して名高速の維持管理業務も行い、この時期に「維持管理業務がなんたるか」を学びました。今から思えばかなり早い段階から維持管理業務をしていたことになります。  2003年には維持管理業務に精通した人材が必要とのことで名古屋高速道路協会技術部へ委嘱(点検業務)されました。協会での維持管理業務は路上・路下・上部工・半地下点検でした。  特に路上点検では毎日200㌔を車上から目視点検し異常個所(ポットホールなど)をコンパクトカメラで撮影しておりました。  その当時は、まだまだデジタルカメラではなくコンパクトカメラ(フィルム)でしたので、異常個所を撮影できたかどうかは現像してみないと分からず、その理由もあって毎日36枚撮りフィルムを2本は使用していました。  カメラ撮影で課題だったのは「撮影者が動いていて止まっているものを撮影することがかなり難しいこと」でした。デジタルカメラになってもその当時は上手く撮ることが難しかったと記憶しています。  路下点検は名古屋高速道路下の街路を望遠鏡とカメラを持ち、徒歩にて点検します。  はじめての頃は橋梁を見上げて点検するので首が痛くなりましたが、RC床版を点検してひび割れや流出石灰を見つけることが楽しくなり、前年度にはない浮きがあると凍結防止剤の影響で塩害ではないか、などと推測していました。点検結果を記録、評価し名高速報告会で説明しますが、こうした作業を通し、劣化部補修の考え方を学ぶことができたと思います。  09年には蔦井に戻り、中日本高速道路の工事でRC床版はく落対策工事や高尾山トンネルはく落対策工事などに現場代理人として従事しました。  また、16年に名高速の大規模更新工事に監理技術者として3年間携わりましたが、この頃には「コンクリート診断士」「コンクリート主任技士」「コンクリート構造診断士」「橋梁診断士」「橋梁点検士」「上級土木技術者」「RCCM」などの資格を取得しています。  また工事などと並行して道路舗装上面から打音検査しRC床版の不良個所(空洞など)を点検調査する『打音検査システム(T.T.Car)』の開発に携わり、東北から四国、九州の橋梁を点検調査、評価、補修提案などをして、橋梁コンサルタント様からは高い評価を得ることができました。  この頃からコンクリートのプロとしてやっていける自信がつき、東海(日本)コンクリート診断士会などにも積極的に参加して現在、在籍しているエバーストラクションの竹内社長と出会うことになります。  現在は技術部長として業務に従事しつつ日本コンクリート診断士会の事務局長なども兼任しています。  次号は、私齋田も資格取得した社会基盤メンテナンスエキスパート(ME)の「MEの会」の会長で日頃よりお世話になっている大日コンサルタントの河合浩史様にバトンをお繋ぎします。

愛知製鋼