株式会社トシプラ
代表取締役社長
利川智子さん
トシプラはプラスチックのブロー成型を専門とする製造会社。金型の設計からデザイン、成形までを社内で行い、中でもオリジナル商品である「PKフロート」はマリンレジャー施設や橋脚工事、橋梁点検など、水辺における工事の足場として活用されている。 代表取締役の利川智子氏は、2013年に妹2人とともに入社し、18年に先代の利川暉氏と交代する形で会社を引き継いだ。三姉妹で父が目指した「メーカーになる」という夢を支えている。 従来「PKフロート」は代理店を通して、レジャー施設での利用を主目的として販売されていた。転機が訪れたのは19年。コロナ禍により、フロート売上がゼロになるという厳しい状況が続いた。 「どうせゼロなら」と、リスクを承知で新製品の開発を行い、製造から販売まで自社で行うことを決めた。限られたリソースでどのように商品を販売するか、利川氏の戦略は「増やす」のではなく「削る」ことだった。 ホームページは極力シンプルに。プランと料金を明示し、設置も現場の作業員自身で行ってもらう。組み立てを簡単にして人件費を抑えることで、高いコストパフォーマンスを実現した。 使い勝手の良い商品と、手間のいらない販売手法は、自分たちはもちろん、顧客の時間や体力も消費させない。 自分たちのパイの限界を冷静に見極め、地に足のついた判断をすることが、顧客への配慮にもつながったのだ。 自社の製品について「ただのプラスチック」と同氏は語る。創業から35年、培ったノウハウと品質に自信があるからこその言葉だ。 今後は「PKフロート」を用いて水上太陽光発電の分野へ進出することを目標にしている。 家族とは意見がぶつかることもあるが、休日にカラオケに行くほどの仲良し。趣味のピアノでは妹との連弾を楽しんでいる。 滋賀県東近江市出身。(高木咲良)