昨年末、自民党の足立敏之参院議員がモルディブ共和国訪問中に逝去された。年が明けて開催された各業界団体の新春賀詞交換会では、享年70歳の早すぎる旅立ちに、参加者から驚きと哀悼の意が次々に表された▼足立氏は1954年兵庫県西宮市生まれ。和歌山県立桐蔭高校、京都大学工学部土木工学科卒業、同大学院を修了し建設省に。近畿地方整備局企画部長や四国地方整備局および中部地方整備局で局長を歴任し技監を経て退官。16年に参議院比例代表で議員に初当選した▼建設産業の再生を日本再生の鍵とする信念のもと、全国津々浦々建設現場を歩き、関係者と会談しニーズを拾い上げ、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」など、多くの政治課題を法案や予算の反映に導いた▼22年には2期目の当選を果たす。その後も業界団体の会合や全国道路の開通式・起工式などに出向いて力強い挨拶で関係者を鼓舞するとともに、各地の豪雨災害や能登半島地震の被災地にもいち早く現地を訪れて復興の道筋に尽力した▼実務を熟知しているからこそなせる有意義で精力的な活動が地域や建設業界に与えた影響は計り知れない。さらなる活躍が期待される中で、彼を失った衝撃はあまりにも大きい。