吾唯知足2025年3月11日号掲載分

吾唯知足 新年度予算案は成立が危ぶまれたものの、国会修正を経て衆議院を通過した。参議院は与党が過半数を占めている。参院での審議を経て年度内に成立する見通しだという▼現段階での一般会計の歳出総額は115兆1978億円で当初予算案から3437億円の減額となった。当初予算が修正されるのは29年ぶりということで、少数与党による綱渡りの国会運営に、今夏の参院選への不安が増した▼思い起こすのは2009年に誕生した旧民主党政権だ。自公政権から政権交代を果たした同政権は、3年強にわたり「コンクリートから人へ」のスローガンのもと事業仕分けを断行。八ッ場ダムを筆頭に多くのプロジェクトが凍結された▼選挙によって示された民意ではあったものの、建設行政は国から自治体までマヒし、業界も著しく疲弊した。今も当時の状況を鮮明に覚えている▼しかし不思議なものであの時「ムダ」とされた八ッ場ダムは2020年に完成し、利根川下流部への治水と利水を担っている。風光明媚で訪問者も多く、完成から5年で100万人が訪れたという▼今年度は土木学会デザイン賞の優秀賞も受賞した。あの時何を「ムダ」としたのか、今もご活躍の先生方にご教示いただきたいものだ。

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