株式会社大島造船所
鉄構事業部 鉄構部 次長
松田 明徳
大学では造船を専攻しており、3年生の乗船体験学習で関門海峡を通過中、下から関門橋を見上げて、よくこんなすごいものを作れるなと思っていました。まさか自分が将来橋に関わるとは。平成9年に広島大学を卒業後、地元長崎県の大島造船所に入社したのですが、配属先は鉄構部大阪設計課でした。そこからずっと橋梁に携わっています。 大阪では主に日本道路公団の鋼二主鈑桁橋の詳細設計に携わりました。特に入社3年目の熊本県八代市の工事では、いろいろありましたのでよく覚えています。設計変更対応で工事事務所に1週間図倉で軟禁?され職員の方たちと毎晩遅くまで仕事したり、しゅん工検査前日に必要な書類が1枚無いことに気づき事務員の方に大阪から鹿児島空港まで持ってきてもらったり。今はクラウド電子納品で便利になったものです。 実務以外では、建設コンサルタンツ協会の橋梁維持管理研究委員会に参加させて頂きました。ここでは維持管理の研究勉強はもちろん、実橋での耐荷力実験や疲労頻度測定、日韓ジョイントセミナーでの発表など貴重な経験をさせて頂きました。また、年1回の現場見学会の二次会で開催される大阪大学の金裕哲先生の男塾(男とはこうあるべきと語る座談会)も勉強になりました。全然実践できていませんが。 平成19年に長崎に戻ってからは、長崎を主とした九州の鋼橋の建設、補修工事に携わっています。鹿児島の工事では、設計施工一括発注方式も経験しました。橋脚位置から選定するこの工事は設計業務の難しさを感じるとともに製作ディテールを施工者の立場で計画でき、すごくやりがいを感じました。また、学生時代によく通っていた場所の工事にも携わることができました。育った場所に貢献でき、このときは感慨深いものでした。 バトンをいただいた岡田さん達と関わった出島表門橋と虎ノ門デッキも印象深い橋です。出島表門橋は架設をお祭りイベントにする土木魅力発信の新しい形でした。ウェブに無数の孔が開いた製作泣かせのデザインですが、最適化を図ったらあのような形状になるようで、3Dプリンターでの製作が普及すれば見慣れた光景になるかも知れません。 虎ノ門デッキは三角形の鋼板を繋ぎ合わせた箱桁で思想はシンプルですが、桁高が低く密閉部や狭隘部が生じるので、現場継手の位置と構造詳細はだいぶ苦労しました。製作・架設する方はもっと大変でしたでしょうが、出来上がりを見たとき、まさにプロが集まるとすごいものができることを実感しました。 長崎県は離島が多く海岸線が入り組んでいるため長大橋が多くあり、メンテナンスにも関わる機会があります。やはり補修補強工事はそれぞれ特有の問題があり、施工の難しさを感じていますが、先代の財産を後世に守り伝えていきたいと思います。 長崎は地の利が悪く都会の華やかさはありませんが、景色や人となりが穏やかで好きです。 当社の1200トン吊りゴライアスクレーンには「地域と共に」の言葉が描かれています。これからも「地域と共に」貢献できることを喜びと誇りにがんばりたいと思います。 次は、架設工事でお世話になっている松田建設工業の楠田隆宏さんにお願いします。