吾唯知足2025年4月21日号掲載分

吾唯知足 ここ数年、アメリカでは西海岸から中西部、さらに南部一帯で、冬が過ぎる頃から、ほぼ例年のように山火事が発生し、多くの被害を出してきた。今年1月上旬に発生したロサンゼルス近郊の山火事は、とりわけ映画スターをはじめとするセレブの住宅に被害が出たことで、世の耳目を多く集めたようだ▼一方、わが国においては、林野庁資料では令和5年度の林野火災が全国1299件、焼失面積を計844ヘクタールとしている。規模は比較にならないが、山林火災は決して対岸の火事では済ませられない問題だ▼この2月末頃から4月上旬にかけた大船渡市、また陸前高田市などの山火事は国全体に衝撃を与えたように思う。大船渡市の焼失面積はおよそ2900ヘクタールにも及び、平成以降で最悪の被害だ▼隣国の韓国でも史上最悪と言われる山火事により多数の死傷者が出た。冬に積雪や降雨が少ないため山林は乾燥状態。そこに強風が吹き、何らかの要因(人為的な放火、失火など)が重なったという。これはほぼ日本にも当てはまると思われる▼現在の自然環境において、今後こうした山火事を完全に防ぐことはほぼ無理と言える。そうであれば、まず被災者支援を手厚く、そして復旧・復興を早急に行うためのさまざまなインフラ整備が不可欠だ。

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